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2025年12月医療法等の改正
新規開業者の開設事前届出義務と保険医療機関の指定期間の短縮

2026年5月4日更新

外来医師過多区域で新規に開業を希望するドクターは、診療所の開設6か月前まで開設事前届出を行わなければならないという規定が設けられました。令和8年4月1日に施行されていますので、令和8年10月1日以降に、外来医師過多区域で新規開業を希望する方は、開設事前届出を行わなければなりません。

事前届出は、地域外来医療の提供に協力するか否かについて、新規開業者の意向を確認するものです。地域外来医療の提供に協力しない意向を回答した場合や、事前に届け出ない場合などには、保険医療機関の指定期間を短縮する等のディスインセンティブも設けられました。

医師偏在の是正を目指して、新規開業希望地が都市部に集中する外来医師の行動変容を促すことを目的とする新ルールです。これから新規開業を希望するドクターは、開業前の診療圏調査において、外来医師過多区域に開業するべきか否かを、新ルールも踏まえて検討することが必要となります。

新たに設けられたルールについて、解説致します。

新規開業希望者の開設事前届出義務のポイント

  • 対象区域 外来医師過多区域として都道府県知事が指定した区域
  • 対象者  外来医師過多区域に無床診療所の新規開業を希望する者
  • 届出期間 無床診療所の新規開設6か月前まで
  • 届出内容 地域外来医療を提供する意向の有無

保険医療機関の指定期間短縮等のディスインセンティブ

無床診療所の開設事前届出において、地域外来医療の提供の意向がないと回答した場合や、継続して地域外来医療を提供しない場合には、下の概略図の1⃣から7⃣のとおりに、地域外来医療の提供の要請・勧告・保険医療機関の指定期間の短縮・公表がなされることとなりました。

地域外来医療の提供の要請・勧告・保険医療機関の指定期間の短縮・公表は、保険医療機関の開業医にとってはディスインセンティブであり、診療所の経営に影響を与えるものです。

地域外来医療の提供に協力すれば、要請・勧告を受けたり、保険医療機関の指定期間が短縮されることはありませんので、外来医師過多区域に新規開業を希望するドクターは、ご自身の診療所経営と地域外来医療の提供を両立できるのかを検討することが必要となります。

地域外来医療提供の要請・勧告・公表の概略図
 

不足する医療等を提供しない

提供しないやむを得ない理由等ではない

要請に応じない場合の開設時の指定期間

開業後も不足する医療等を提供していない

提供しないやむを得ない理由等ではない

再度の指定期間

指定期間を短縮された医療機関

2025年12月12日『第8回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会資料』を参考に作成

外来医師過多区域について

外来医師過多区域とは、国が提示する外来医師過多区域の候補となる二次医療圏のうち、特に地域外来医療を確保する必要がある区域として都道府県知事が指定し公表する区域のことです。(医療法第30条の18の6第1項)

国が提示する外来医師過多区域の候補区域は、次の2つの基準を超える区域が該当します。

  1. 外来医師偏在指標が「全国平均+標準偏差の1.5倍」以上(医師数で計る基準)
  2. 可住地面積あたり診療所数が全国上位10%(診療所数で計る基準)

【表1】は、国が提示した外来医師過多区域の候補区域です。都市部に集中しており、東京23区のうち17区が候補区域に該当しています。【図1】は、東京23区のうち候補区域である17区を塗分けた東京都の地図です。一目瞭然で、東京都23区の大部分が、外来医師過多区域に指定される可能性のある区域であることが分かります。

医療法第30条の18の6第1項の規定では、外来医師過多区域の候補区域のうち、特に地域外来医療を確保する必要がある区域が、最終的に外来医師過多区域として指定・公表されます。

次項に、『地域外来医療の提供』についてまとめます。

【表1】外来医師過多区域の候補区域

厚生労働省医政局地域医療計画課事務連絡『外来医師過多区域に係る候補区域の公表について』より引用

【図1】東京23区のうち外来医師過多区域の候補区域に該当する17区

筆者作成

地域外来医療の提供について

地域外来医療は、『地域において特に必要とされる外来医療』と医療法第30条の18の5に規定されています。地域において特に必要とされる外来医療として、『地域で不足する医療機能』と『医師不足地域での医療の提供』が、都道府県により公表されることとなっています。

【地域で不足する医療機能の例】

  • 夜間や休日等における地域の初期救急医療の提供(夜間・休日等の診療、在宅当番医制度への参加、夜間休日急患センターへの出務、二次救急医療機関の救急外来への出務等)
  • 在宅医療の提供(提供が不足している地域がある場合)
  • 学校医・予防接種等の公衆衛生に係る医療の提供

【医師不足地域での医療の提供の例】

  • 都道府県内外の医師不足地域での定期的な外来医療(地域で不足している診療科)の提供
  • 都道府県内外の医師不足地域での夜間休日急患センターへの出務、二次救急医療機関の救急外来への出務

 

外来医師過多区域で無床診療所の新規開業を希望する方は、上記の『地域で不足する医療機能』や『医師不足地域での医療』を提供することに協力するか否かを、診療所の開設前に届出なければなりません。

事前に届出なかったり、地域で不足する医療機能等の提供に協力できないと回答した方には、その理由のヒアリングが行われ、地域で不足する医療機能等の提供を要請・勧告されることとなります。

地域外来医療の提供の要請・勧告・公表について

開設事前届出において地域外来医療を提供しないと回答した方や、開設事前届出を行わなかった方、そして、地域外来医療を提供しないやむを得ない理由がある者として猶予された方は、各都道府県が設置する外来医療の協議の場に参加し、地域外来医療を提供しない理由などの説明を求められます。

地域外来医療を提供しない理由が、やむを得ないと認められない場合には、地域外来医療の提供を要請されます。1〜2週間程度の回答期限内に回答しない場合や地域外来医療を提供する旨の回答をしない場合には、要請に応じないものとして、(厚労省へ通知し)保険医療機関の指定期間が3年に短縮されます。

その後も、年1回程度、都道府県医療審議会または外来医療の協議の場に参加し、地域外来医療を提供しない理由の説明を求められます。要請を受けてからも地域外来医療を提供していないことがやむを得ないと認められない場合、地域外来医療の提供の勧告を受けることとなります。勧告を受けますと、2回目の保険医療機関の指定期間も3年に短縮されます。

勧告を受けた後も地域外来医療を提供していない場合、医療機能情報提供制度(ナビイ)において、地域外来医療の提供の要請・勧告を受けたこと、要請・勧告に応じていないことなどが公表されます。

下図は、検討会資料の抜粋です。要請・勧告・保険医療機関の指定期間の短縮・公表の流れを示しています。

今般の医療法等の改正で、都道府県知事のできること(要請・勧告・保険医療機関の指定期間の短縮・公表)が設けられました。保険医療機関の指定期間の短縮は、保険医療機関の経営者である開業医に、多大な影響を与えます。改正法の運用が、慎重になされることが望まれます。

地域外来医療の要請等のフローイメージ

2025年12月12日『第8回地域医療構想及び医療計画等に関する検討会資料』より抜粋

保険医療機関の指定期間の短縮について

保険医療機関の指定期間の短縮は、下表が標準的なルールとされています。

指定期間 類型
3年
  • 要請を受けて、期限までに応じなかった診療所
  • 勧告を受けた診療所
  • 保険医療機関の再指定時に、勧告に従わない状態が続いた場合(2度目の指定)
   
2年
  • 保険医療機関の再々指定時以降に、勧告に従わない状態が続いた場合(3度目の指定以降)
   

『医師確保計画の見直し等に向けたとりまとめ(2026年3月19日)』より抜粋

各都道府県において『外来医師過多区域』と『地域外来医療』が公表されてから半年以降に、保険医療機関の指定期間が短縮された無床診療所について、次の項目が医療機能情報提供制度(ナビイ)に追加されます。

  • 地域で不足する医療機能、医師不足地域での医療の提供の有無・内容および実績
  • 医療法による要請または勧告の有無
  • 要請・勧告がある場合、地域外来医療を提供しない理由

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