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2025年12月医療法等の改正
保険医療機関の管理者(院長)の要件と責務

2026年4月24日更新

『保険医療機関の管理者(院長)の要件と責務』が健康保険法第70条の2に定められました。令和8年4月1日に施行されています。

複数疾患や医療・介護の複合ニーズを抱える高齢者の増加が見込まれる中、このような高齢者を支える各保険医療機関が、相互に支え合い地域医療を効果的に機能させることが求められています。

そこで、各保険医療機関に適切な管理能力を有する医師を確保するために、管理者の要件と責務と罰則が定められることとなりました。

保険医療機関の管理者の要件

令和8年4月1日現在、臨床研修を終えていない方

  • 保険医であること
  • 臨床研修後、保険医療機関である病院または診療所(医師の場合は病院に限る)において3年以上保険診療に従事した経験を持つこと

【健康保険法第70条の2第1項第1号、第2号】

令和8年4月1日現在、臨床研修を終えている方

  • 保険医であること
  • 臨床研修期間を含めて3年以上、保険医療機関である病院または診療所において、保険医として診療やその他の管理・運営に関する業務に従事した経験を持つこと

【経過措置】

令和8年4月1日現在、すでに臨床研修2年を終えているドクターは、保険医療機関である病院または診療所において1年以上、保険診療やその他の保険医療機関の管理・運営業務に従事した経験があれば管理者要件を充たします。

臨床研修後『直美』を選択し、自由診療しか経験していないドクターは、臨床研修期間を含めて3年以上の保険診療などの経験要件を充たしませんので、保険医療機関の管理者にはなれないということになります。

それでは、令和8年4月1日現在、臨床研修を終えていないドクターが『直美』を選択した場合には、どうでしょうか。このケースも、『臨床研修後、医師の場合は病院において3年以上保険診療に従事した経験を持つこと』という要件を充たしませんので、美容医療機関で3年以上診療に従事しても保険医療機関の管理者にはなれません。もちろん、保険医療機関ではない美容医療機関の管理者にはなれます。

では、こんな事例を考えてみましょう。令和8年4月1日現在で臨床研修を終えていない若手ドクターが『直美』を選択し、自由診療に従事します。この若手ドクターの実家は、保険医療機関である診療所を経営しています。この診療所の院長、若手ドクターの父親が急逝し、急遽、診療所を承継しなければならなくなったとき、『直美』の若手ドクターは保険医療機関の管理者要件を充たしていませんので、診療所を承継できず、診療所を廃業するしかないのでしょうか?

このようなケースには救済措置が設けられています。上記のほかにも保険医療機関の管理者要件が設けられているのです。その中に、『緊急に保険医療機関を承継するなど、やむを得ない理由のある者であること』という要件があります。この要件を充たしていると認められれば、事例の若手ドクターは、保険医療機関の管理者となり実家の診療所を承継することができると考えられます。

但し、管理者要件を満たしていない者が、緊急に保険医療機関を承継し管理者になれるのは、『地域医療の維持のためにはやむを得ないと認められる場合』であり、外来医師過多地域に所在する保険医療機関では、管理者要件を満たさないドクターが管理者となることは認められないものとされています。

実際の保険医療機関の運営では、診療技術はもちろんのこと保険診療の点数計算も必要な知識となります。保険医療機関での経験を積み上げることなく、急遽、保険医療機関の管理者になることは、相当な覚悟と自己鍛錬が必要となるでしょう。

保険医療機関の管理者要件が定められたことは、実家が保険医療機関であるという若手ドクターが『直美』を選択肢とする際に、ご自身のキャリアの積み方をしっかり考えるきっかけにはなるのではないでしょうか。

その他の保険医療機関の管理者要件は次のとおりです。

【その他の要件】※『保険医であること』『臨床研修を修了していること』が前提です。

  • 地域枠で入学・卒業した医師、自治医科大学を卒業した医師などのキャリア形成プログラムの適用を受けている者または適用後3年以内であること。
  • 一般社団法人 日本専門医機構が認定する専門医の資格を持つこと、専門研修プログラムの修了後3年以内であること、または、産業医科大学の専門産業医コースⅠ若しくは専門産業医コースⅡを修了した者であること。
  • 医師または歯科医師としての専門知識を活用して公務員として5年以上の勤務経験があること。(矯正医師、医師または歯科医師である自衛官その他の公務員)
  • 保険医としての3年の診療従事要件や医師・歯科医師である公務員としての5年の勤務経験について、転職等で複数の経験のある場合は、合計5年を超える経験があること。
  • 緊急に保険医療機関の管理者の地位を承継するなど、やむを得ない理由のある者であること。(地域医療の維持のためにやむを得ないこと、外来医師過多区域においては認められない)

【保険医療機関及び保険医療養担当規則 第11条の4】

勤務要件

実務経験年数をカウントするために、勤務要件も設けられています。

  • 週4日以上を常態として勤務しており、かつ、所定労働時間が週31時間以上であることを基本とする
  • 上記の勤務状況を1か月単位で満たすか否かを判断し、36か月または60か月を満たすことを原則とする

さまざまな働き方にも対応するために『配慮措置』が設けられています。

【配慮措置】

  • 所属する医局や法人の人事の都合により、1週間に複数の保険医療機関で勤務する必要がある方の勤務要件については、1つの保険医療機関において週2日以上を常態として勤務し、かつ、勤務する複数の保険医療機関における診療に従事する時間の合計が週31時間以上とすること。
  • 育児・介護により所定労働時間が短縮された方については、週4日以上の常態としての勤務要件を求めず、所定労働時間が週30時間以上であることのみとすること。
  • 大学や大学院等に在籍しており、学業や研究等が本業である上で、診療に従事している方については、週2日以上を常態として勤務、かつ、診療に従事する時間が週16時間以上である場合は、当該期間の2分の1を経験年数に算入可能とすること。

保険医療機関の管理者の責務と罰則

健康保険法第70条の2第2項に、保険医療機関の管理者の責務として、次のとおり規定されました。

保険医療機関の管理者は、適正な医療の効率的な提供を図るため、厚生労働省令で定めるところにより、当該保険医療機関に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者を監督するとともに、当該保険医療機関の管理及び運営につき、必要な注意をしなければならない。

厚生労働省令では、保険医療機関の管理者の責務として、次のとおり規定されました。

【保険医療機関及び保険医療養担当規則 第11条の5】

  • 保険医療機関に勤務する保険医が、保険診療を行うに当たって遵守する事項を定めた療担規則を遵守するよう監督すること。
  • 保険医療機関における施設基準の届出などの手続きや、診療報酬の請求が適正に行われるよう監督すること。
  • 保険医療機関内の診療録の整備、帳簿などの書類の保存が適正に行われるよう監督すること。
  • 保険医療機関に勤務する医師、歯科医師、薬剤師その他の従業者の連携を図るとともに、地域の病院や診療所などとの連携を図ること。

保険医療機関の管理者が、故意または重大な過失により、上記の責務を怠ったときには、保険医療機関の指定取消しや保険医の登録取消しも規定されています。

【健康保険法 第80条第1項第2号】

厚生労働大臣は、次に該当する場合においては、当該保険医療機関の指定を取り消すことができる。

二 保険医療機関の管理者が第70条の2第2項の規定に違反したとき(当該違反を防止するため、当該保険医療機関の管理者として、相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)

【健康保険法 第81条第1項第2号】

厚生労働大臣は、次に該当する場合においては、当該保険医の登録を取り消すことができる。

二 保険医療機関の管理者が第70条の2第2項の規定に違反したとき(当該違反を防止するため、当該保険医療機関の管理者として、相当の注意及び監督を尽くしたときを除く。)

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