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2025年12月医療法等の改正
美容医療クリニックの定期報告義務

2026年5月24日更新

美容医療クリニックの定期報告義務が、医療法第6条の12の2に規定されました。施行日は、改正法公布の日である令和7年12月12日から起算して、2年以内の厚生労働省令で定める日とされています。

都道府県知事等へ何を報告するのかは、施行日までに医療法施行規則に定めらます。このページでは、美容医療クリニックの報告義務と既存の医療法の規定から想定される報告内容、報告のために求められる美容医療機関内の安全管理対策についてまとめています。

美容医療クリニックの報告義務〜医療法第6条の12の2〜

医療法第6条の12の2のポイントは、次のとおりです。

  • 報告する者・・・美容医療機関(病院または診療所)の管理者
  • 報告先・・・・・都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長
  • 報告事項・・・・医療法第6条の12に規定する措置、医療の安全確保に必要な情報
  • 公表義務・・・・都道府県知事等が、医療の安全確保のための必要事項を公表
  • 都道府県知事等は、報告をしない又は虚偽の報告をした管理者に対し、報告を行わせ、虚偽の内容を是正するよう命じることができる。

上記のポイントのうち、最も重要な『報告事項』について次項にまとめます。

報告事項について

医療法第6条の12の2には、『医療法第6条の12に規定する措置の状況』と『医療の安全確保のために必要な情報』を報告しなければならないと規定されています。

『医療の安全確保のために必要な情報』は、施行日までに定められる事項ですので、今現在(2026年5月24日現在)は明確ではありません。そこでまず、既存の条文の医療法第6条の12に定められている『措置』についてまとめます。

医療法第6条の12において、病院等の管理者は①医療の安全を確保するための指針を策定し、②従業者に対する研修を実施し、③病院等における安全を確保するための措置を講じなければならないと定められています。

端的に、上記の①〜③の『措置』が講じられていることが報告事項に含まれると想定されます。

①〜③は、病院等の管理者の安全確保義務ですので、当然、①〜③が遵守されていなければ、医療法違反となります。遵守されている状況を報告しなければ指導や立入検査の対象となり得ると考えられます。

①〜③については、医療法施行規則第1条の11にさらに詳細な規定があります。病院と無床診療所に対して、整備するべき措置として掲げられているものを抜粋します。

  1. 医療の安全を管理するための指針を整備すること。
  2. 従業者の医療の安全に関する意識、他の従業者と相互に連携して業務を行うことについての認識、業務を安全に行うための技能の向上などを目的として、医療の安全管理のための基本的な事項および具体的な方策について、職員研修を実施すること。
  3. 医療機関内における事故報告等の医療の安全管理確保のための方策を講ずること。

【まとめ】

美容クリニック内に、医療の安全確保のための指針が策定され、職員研修の実施により、その指針が従業者に周知され、万が一の事故については速やかに管理者に報告される体制が整備されていることが、報告事項に含められるものと想定されます。

令和7年8月15日に厚生労働省医政局長より発出された『美容医療に関する取扱いについて』には、医療の安全確保のための措置と医療法違反についての記述があります。次項では、この記述についてまとめておきます。

通達『美容医療に関する取扱いについて』の記述

通達『美容医療に関する取扱いについて』(医政発0815第21号)には、医療法第6条の12と医療法施行規則第1条の11を踏まえて、美容医療における医療の安全確保のための措置と医療法違反に該当する状況についての記述があります。以下に抜粋します。

【美容医療機関の管理者が講じなければならない医療の安全を確保するための措置】

ア.安全管理のための体制の確保

  • ​医療に係る安全管理のための指針の整備
  • 指針は、従業者に対する研修、事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策、医療事故等発生時の対応、患者からの相談への対応に関する基本方針等を文書化したものであること。
  • 医療に係る安全管理のための基本的な事項および具体的な方策についての職員研修の実施
  • 職員研修は、当該病院等の具体的な事例等を取り上げ、職種横断的に行うものであることが望ましい。年2回程度定期的に開催するほか、必要に応じて開催し、研修の実施内容(開催または受講日時、出席者、研修項目)について記録すること。

イ.医薬品に係る安全管理のための体制の確保

  • 医薬品安全管理責任者の配置
  • 従業者に対する医薬品の安全使用のための研修の実施(副作用等が発生した場合の対応(施設内での報告、行政機関への報告等)に関する事項を含む。)
  • 医療機器に関する安全管理のための体制の確保等も必要

【医療法第6条の12、医療法施行規則第1条の11に違反する状況】

ア.医療に係る安全管理のための指針を整備していない。

イ.医療安全管理のための職員研修を実施していない(定期的な実施が記録から確認できない。)

令和7年8月15日に発出された『美容医療に関する取扱いについて』(医政発0815第21号)は、令和6年度に実施された『美容医療の適切な実施に関する検討会』の報告書を踏まえて、まとめられています。

美容医療への需要が高まっている近年、美容医療を受けた患者からの相談件数は増加し、身体に危害を受けた医療事故も発生しています。このような状況を受け、検討会が編成され美容医療の安全確保と違法行為の抑止、質の高い美容医療機関が患者に選ばれるための取り組みなどについて検討されました。

自由診療とは言え、医療法・医師法・保健師助産師看護師法などの関連法規のルールのもとで医療は提供されなければなりません。

医療法改正により設けられた報告義務は、単に書面上の報告を義務付けるものではなく、すでに医療法に定められている医療機関内の安全管理体制整備義務を遵守することを促すものです。

すでに医療法等の要求する安全管理体制が整備されている医療機関にとっては、報告事務が増えるに過ぎませんが、安全管理体制に不備のある美容医療機関は、この機会に安全管理体制を見直す必要があります。

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