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2026年8月31日公開
個人歯科医院の承継開業を目指す買い手先生が、歯科医院の事業を譲り受けた後に『こんなはずではなかった…。』ということがないよう、事業譲渡契約前に見落としてはいけないポイント5選をまとめました。
個人歯科医院の承継開業のメリットの1つは、買い手先生による新生歯科医院の開業当初から、一定数の患者様の来院が見込めるという点です。
ゼロからのスタートである新規開業の場合、開業時に集患のための広告宣伝活動を大々的に行うことが通例となっていますが、承継開業の場合は、必要不可欠な広告宣伝活動を行うものの、歯科医院に定着している患者様がいるので、開業時の集患にかけるコストをコントロールできます。
そして、何よりも開業時から一定数の患者様の来院が見込めるということは、開業時の収入を予測できるということです。開業時から一定の収入が見込めることこそが、承継開業の最大のメリットと言えます。
承継開業後に見込める患者様の数と収入をより正確に予測するために、総カルテ数ではなく、直近のアクティブな患者数を知らなければなりません。直近のレセプト数を確認することで、事業譲渡直前の歯科医院の実患者数を把握できます。
総カルテ数の多さではなく、今まさに通院してくださっている患者様の数を確認してください。
個人歯科医院の先生方は、毎年、所得税の確定申告をなさっています。
所得税を計算するためには、歯科医業から得られた『事業所得』を計算しなければなりません。『事業所得』は、『収益から費用を差し引いた利益に相当する金額』とざっくり捉えて頂いて構いません。事業所得を算出するために、日々の収益と経費を会計帳簿に記録し、1年間の歯科医業の経営成績と財務状況をまとめた決算書を作成します。従いまして、決算書を見れば、歯科医業から得られた事業所得≒利益が分かります。
事業譲渡において、譲渡の対象となる歯科医院が、譲渡直前期に計上している利益の金額は、譲渡価額の交渉にダイレクトに影響しますので、利益が正確に計算されているかを確かめる必要があります。
歯科医業から得られる正常な利益が算出されていることを確かめるために、どのような経費が計上されているかを調べます。
個人の事業所得計算には、経費計上のルールがあります。事業のために費やす事業費とプライベートな出費である家事費を区別するのが、経費計上のルールです。事業費と家事費の区別が曖昧で、家事費が多く経費に含まれていると、算出された利益は、歯科医業から得られる正常な利益とは言えません。
経費にプライベートな家事費が含まれていないか確認してください。
ご承知のとおり、歯科医院の運営には、歯科ユニット・コンプレッサー・バキューム・レントゲン・歯科用CT・レセプトコンピュータなど、診療のための大小さまざまな医療設備や医療機器が必要です。
これらの医療設備・医療機器を1から揃えるには、高額な初期投資をしなければなりません。開業コストをできるだけ抑えるために承継開業を選ぶのですから、譲渡対象である歯科医院の医療設備・医療機器が、まったく使えないとなると事業譲渡契約の締結には二の足を踏んでしまいます。
医療設備・医療機器が大切に使用され、メンテナンスも滞りなく行われていて、承継開業後も使える状態のものであれば、資産価値を認めることが出来ます。売り手先生が、医療設備・医療機器をどのように取り扱ってきたのかを御確認ください。
税務の視点から、例えば、歯科ユニットの税金計算のための耐用年数は7年です。実際は、7年で歯科ユニットを入れ替えることはせず使い続けます。歯科医師の先生方は、確定申告のために固定資産台帳という帳簿を記録しています。固定資産台帳を閲覧させてもらい、現在使用中の医療設備・医療機器が、耐用年数を超過しているのか、何年ぐらい超過しているのかをチェックしてください。そして、医療設備・医療機器のメンテナンス記録も合わせて閲覧させてもらってください。
医療設備・医療機器の現状を把握し、歯科医院の承継後に継続して利用できるかどうか検討し、利用できるものとできないものの分類を行ってください。
利用できるものは資産と認め、利用できないものは、買い手先生が新たに調達しなければなりませんので、資金計画に織り込む必要があります。
歯科医院は、歯科医師である先生お一人では運営できません。歯科衛生士や歯科助手、医療事務や経理事務を担当するスタッフが必要不可欠です。先生を中心としたチームが一丸となることで、患者様へ良質な歯科医療を提供することができます。
個人歯科医院の事業譲渡契約では、売り手先生とスタッフが結んでいた雇用契約を、買い手先生が引き継ぐことは出来ません。スタッフは、売り手先生の歯科医院を退職後、買い手先生と新たに雇用契約を結ぶこととなります。
買い手先生は、売り手先生の歯科医院に勤務していたスタッフと雇用契約を結び、チームとして新生歯科医院をスムーズに運営できるかを、じっくりと考えてください。私見ですが、人間関係は、最も予測するのが難しいです。元のスタッフと雇用契約を結べたとしても、その後すぐに辞めてしまうかもしれません。また、買い手先生のやり方に合わず、買い手先生がストレスを感じることになるかもしれません。
買い手先生との雇用契約を望むスタッフとは雇用契約を結び、事態の急変にも対応できるように、自力でスタッフを集める覚悟もお持ちになることが賢明です。
『事業譲渡後、無事、開業を果すことができたと安堵した矢先に、見込みを大きく下回る数の患者様しか来院しない(⁉)なぜかと思案に暮れていると、売り手先生が引退せず近所で「移転開業」していた(‼)』
このような事態は、あってはならないことです。ある程度の患者数を見込んで、引退する意向の売り手先生から歯科医院を買ったにもかかわらず、売り手先生が翻意し、あろうことか買い手先生の歯科医院の近所に「移転開業」されてしまっては、売り手先生に長く診てもらっていた患者様は、売り手先生の「移転開業」歯科医院に行ってしまいます。
『道義的に、引退する意向の売り手先生が、そんなことしないだろう。』と考えず、事業譲渡契約書には必ず『競業避止義務』についての項目を記し、近隣での「移転開業」を防止しておきましょう。
承継開業後、売り手先生にも非常勤として歯科医院に勤務してもらい、業務の引継ぎなどが行える良い関係を築けることが理想です。
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